古代エジプト時代の聖猫ブロンズ像です。聖猫って素敵な名前ですね。こんちくしょう。これはブリヂストン美術館が所蔵しております。
ブリヂストン美術館 より
手足がすらっと長い小顔美人です。耳の位置がすこし前寄りな気がします。(それにしても手足長すぎ。)
紀元前からネコは人間と一緒に生活をしておりました。「聖猫」とあるように、エジプト時代は聖なるものとして崇められていたようです。
聖猫は人気
Twitterで検索してみると、どうやら人気のようです。
ブリヂストン美術館で、Best of THE BEST展を鑑賞。チケット買うのに30分くらい並んだけど、日陰で助かった。ザオ・ウーキー、藤田、聖猫をもう1回見れて良かった。
— Tetsuya Higashi (@jetsob13) May 4, 2015
BEST of THE BEST @ブリヂストン美術館 古代美術もあるのですね。"聖猫"さんと見つめ合っちゃった。帰り際、エントランスにひっそり居た"勝利の女神"を見てたら何かに勝てそうな気が (•‿•) #Bura_Bi_Now pic.twitter.com/cEE12Z3NB4
— ぽこた (@pokota_vs) March 11, 2015
常設もよかった。ここのピカソの絵の前に立つのはいつも楽しみ。そして今回、古代エジプト、メソポタミア系の所蔵品が収穫でした(非常に状態がよい)。グッズにもなってる聖猫。正面の顔もかわいいのよ!http://t.co/o72cjBTsZz
— sssumasato (@sssumasato) December 15, 2013
聖猫について調べてみる
30年間ネコの行動について研究しているジョン・ブラッドショー著の下記の本にいろいろ書いてあったので、それをもとに「聖猫」についてすこし紐解いてみます。
書籍「猫的感覚: 動物行動学が教えるネコの心理」 John Bradshaw
古代エジプトでは生け贄のためのネコがたくさん飼育されていた
エジプト人にかわいがられているペットのネコもいたが、大半のネコはただのネズミ駆除係で、金持ちも貧乏人も同じようにネコを利用していた。ただしユニークなのは、多くのネコが生け贄として殺されるために特別に繁殖されていたということだ。
当然、エジプト人のネコと宗教に対する関わり方は、現代にはなじめないものだ。 寺院への捧げ物として出来合いのミイラを買った礼拝者たちが、ミイラの 中身について知らなかったことはまずありえない。ネコの飼育所とミイラの制作所は近接していたから、臭いだけでもあきらかだっただろう。
古代エジプト時代には大きく2種類のネコがありました。
- ■ イエネコ
主に害虫駆除用に飼育されていた。ネズミはもちろん、蛇の駆除にも一役買っていた。エジプト時代では毒蛇は恐れられていたものであり、
- ■ 聖ネコ
寺院への捧げ物としてミイラ用に飼育されていた。
イエネコも聖ネコも種類や見た目の違いはありません。
ちなみにイエネコが誕生したのは今から4000年前のエジプトで、リビアヤマネコがルーツだと言われています。
古代エジプトではネコへの崇拝が半端なかった
法律も習慣もイエネコを殺すことを禁じていた
・・・
誰かがネコを殺すと、故意であるかどうかにかかわらず、大勢の人にひきずりだされて死刑に処せられる。その恐怖のために、この動物が死んでいるのを発見すると、立ちすくみ、悲嘆の声をあげて、見つけたときにはすでに死んでいたとみんなに訴えるのだ。ネコがあるローマ人によって殺されたとき、人々は大騒ぎでその男の下宿に駆けつけた。彼らを思いとどまらせようと王から派遣された姫も、ローマ人への恐怖も、人々の怒りからその男を救い出すことができなかった。
ネコの繁殖施設というものが存在し、祭司以外にはその施設に近づくことは禁じられていたそうです。またミイラ化されたネコのそのふくよかな大きさからして十分な餌をあたえられ育てられたようです。その骸骨も完全なものが入っており、利益優先の商業的商売で扱われていた可能性は低く、大切に扱われていたようです。
ブリヂストン美術館が所蔵しているこのブロンズ像はネコの姿をした神バステトを表したものであり、捧げ物の一つとしておそらく中に猫のミイラを入れてお墓に埋葬されていたもののようです。
※バステトについて
「バステト」と検索すると、パズドラとモンストの画像が多くヒットしますが、バステトとは古代エジプト時代の女神です。
その歴史を紐解くと、
4800年前のナイル川デルタ地帯で、もともとはライオンの頭を持った女性の形をしていて、額に蛇を載せていた。
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2000年ほどして、家猫が都市に入ってきたか、地元で猫の家畜化ブームが起きたかが転機となり、バステトは雌ライオンの姿だったが、家猫を連れているところを書かれるようになった。
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それから300年ほどして、ライオンの女神の外見は、あきらかにイエネコそっくりに変化した。
もともと、人間を不運から守る単純な女神だったが、のちに、楽しみ、多産、母性愛、女性の性愛を司るようになった。
古代エジプトでは今では考えられない変な習慣があった
ヘロドトスによれば、ペットのネコが自然死すると、家族全員が崇拝のしるしとして眉を剃ったそうだ。また建物が火事になると、消火作業よりも、ネコが燃えている建物に入らないように必死になるそうだ。
眉を剃るってすごいですね。眉毛が完全に生え揃うまでには3ヶ月程度かかります。その3ヶ月間はある意味ネコの死と向き合って生きることになります。仏教では49日が1つの節目なので、それと比較すると、エジプト人のネコへの愛が感じられます。
以上のことは、この本「猫的感覚: 動物行動学が教えるネコの心理」に書いてあります。もっと知りたい方は、この本を読んでみてはいかがでしょうか。
ブリヂストン美術館はもうすぐ閉館します
なお、ブリヂストン美術館は新築工事に入り、工事が終了するのは数年後とのことなので、このタイミングを見逃すとしばらくは見ることができません。
今開催しているベストオブベストが最後の展示会となり、2015年5月17日(日)までなので、ブリヂストンが所蔵している作品を数年みれないことが我慢できない人は、行かないとダメです。
ただ今、すごく混んでおります。
この写真では伝わりませんが、200メートルくらい行列ができています。ただこの行列はチケット購入のための行列です。チケットをすでにもっている方はすんなり入れます。
ミューポン
100円引きのクーポンがあるので、もっている人は使いましょう。
http://www.tokyoartbeat.com/apps/mupon
この機会を逃すと「聖猫」に会えるのは数年後になります。気になる方は行ってみるといいかもしれません。
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