ネタバレ注意です。
百日紅 Miss HOKUSAIの映画を見ました。それから2週間が経ちました。
百日紅は江戸の特に風俗に精通している杉浦日向子さんの漫画で、今回、原恵一監督によって映画化されました。
眉毛の存在感に驚き、目がが慣れた頃にはお部屋の散らかりように驚き、紙の、手で丸めたクシャクシャに、小さな頃の体験が蘇ってきます。
目の見えない4女お猶に体の弱かった近所の子を重ねます。お猶の目は私が奪ったのだと、北斎の落ち込む姿は、ひとりの優しい人間でしたが、北斎ともなる人もそういう凡人な一面は持っていたのでしょう。
踏みつける雪の音を聞いていると、目の前の映画を見ているのだけれども、頭の中は昔の思い出が蘇ってきます。雪国で育った昔の思い出が浮かびます。雪だまを木にぶつけ、どさっと落ちる雪のかたまりはなんともたまりません。
時折現実からかけ離れたあやかし話が平然と物語にとけこんでいるものですから、小さきころの直江津のおばあちゃん家で妹と見た、耳なし芳一や雪女などの怪談をテレビで見たのを思い出します。ホオズキなんかが必ず家にあり、実の中身を爪楊枝でとりだして風船にして遊ぶ方法を何度も教わりました。定番の笹舟や笹でつくる棒状の飴も教えてくれました。夏休みの宿題が終わらないと玄関で泣いている自分を大丈夫だよとずっと肩を叩いてくれました。今思えばなんと小さなことでくよくよしている自分を、同じ目線で付き合ってくれたおばあちゃんの寛大さは尊敬する一方です。
先週のことですが、危篤でいよいよ危ないと聞き、数年前から痴呆症を患っていたほぼ植物状態のおばあちゃんに会いに行きました。覚悟はしていましたが、数年ぶりということもあり、少し強くここをを持っていないと倒れそうなほど、変わり果てた姿でした。一番落ち込んだのは病室のネームプレートを見たとき、おばあちゃんの名前はそういえばそんな名だったと思ってしまったことでした。
人生はあっという間であり、少しのことですぐに状況がかわってしまう。やりたいことはすぐにやりなさいと、おばあちゃんは変わり果てた姿でその身をもって私に教えてくれているのだと思っています。
百日紅を見たことで変化したまわりの状況と、思ったことを、記録として残しました。
この映画はそういう映画かもしれませんね。
[映画] 百日紅 Miss HOKUSAI
http://sarusuberi-movie.com/
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